AKBと撮影可能タイムに関する私的まとめ

 

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/261103

※2020/9/1追記

1年ぶりに読み返したらリンクが切れてたので修正しました

 

ちょっとネットで話題になっていたこの記事、日刊ゲンダイの記事なんですが、アイドルライターを名乗る誰かがAKB凋落の原因はライブの撮影可能タイムのせいだと論じているんですよね。こんな感じで。

 

「海外アーティストとは違い、日本のライブコンサートでは撮影禁止が絶対。それによってライブの神秘性を保ちつつ、万が一パフォーマンスが低かったとしても表面化させないという手法が長年取られてきました。ところが2015年、HKT48が香港ライブの時にファンサービスの一環としてライブ中のスマホによる撮影可能タイムを始めました。当時としては超画期的なイベントに現場のファンは歓喜し、ツイッターによる拡散もあってグループの知名度アップにつながるなどいいことずくめ。ライブの集客に苦しんでいたチーム8も真似るようになり、ついにはAKB48本体の総選挙ライブでも導入されていったんです」

「撮影可能タイムの動画などは、当然ながら修正できずにツイッターやユーチューブで拡散されます。そこに映っていたのは、運営が世間から隠したいものばかりに変わっていったんです。小さな会場なのにチケットを完売させることができず、暗幕で覆い隠したステージ横や2階席の空席箇所がさらされたり、本来セクシーなはずのヘソ出しコスチュームからのぞく意識の低いメンバーたちのダルダルのお腹ばかりフューチャーされた動画もアップされるようになりました。叱咤激励のつもりだったのかもしれませんが、こうした撮影者のせいでファンは加速度的に減っていっていたんです」

 

いちおう引用の体をとったんですがこのコメントが記事のほとんどで、言ってしまえばもう全部がメチャクチャなので、自分なりにAKBグループと撮影可能タイムの歴史を振り返ってみようと思いました。

 

ブレイク後のAKBで撮影可能に真っ先に進出したのは何をどう考えてもチーム8なわけで、そもそもは自前のライブではなくスポンサーのトヨタやテレビ局などのイベントで「撮影を禁止しなかった」ので次第にいいカメラを持ったカメコが集うようになっていったわけです。

 

スポンサー様のイベントで偉そうに撮影禁止なんて言えないのもあるだろうし、既存AKBと違うチーム8というプロジェクトを始めるにあたって新しいプロモーションをと考えた結果、橋本環奈の奇跡の一枚みたいなムーブメントに乗っかったってのもあるかと。ちなみに、橋本環奈の奇跡の一枚が話題になったのが2013年11月、チーム8が地方のお祭りで活動開始したのが2014年5月。チーム8プロジェクトはトヨタがスポンサーについたAKBにとって絶対外せない全国規模のプロジェクトだったわけで、AKB側と広告代理店側の精鋭スタッフが集ってゼロベースで組み立てた印象で、撮影開放も当時としては大きな決断だったような気がします。最後の方は完全に想像ですが。

 

参考までに、自分が初めて行ったチーム8のイベントは2014年5月24日の静岡エコパアリーナのイベントが最初で、北海道・東北エリアと中部エリアのメンバーの初イベントだったりしたんですが、AKBのヲタっぽい人もあんまり来ていない中、どこで聞きつけたのかカメコやビデコたちが集い立派なカメラを構えていたりしました。

 

なので、撮影に慣れてない48ヲタが、手持ちのスマホでこの程度↓

しか撮影できない中、ネットを探すとこんな動画↓

 

 

が上がっていたりするわけです。橋本環奈の奇跡の一枚以降、アイドルカメコのみなさんは自分も奇跡の一枚を撮って誰よりも先に公開してやろうみたいな感じがあって、それもあっていい写真がネットに溢れるようになったんですよね。初期には衣装の下からケツのはみ出した写真みたいなのもあったけど、今はTwitterなんかでメンバー本人が見るのも前提にもなっていて、ぱっと目に付く範囲ではそういうのもなくなってきた印象。チーム8が開拓したカメコは最近ではAKB48グループの出演するスポーツイベントなんかでもいい写真を大量生成してくれている状態ではあります。まあ、これはライブの撮影可能とは直接は関係なかったりするんですが。

 

チーム8が静岡エコパアリーナでイベントやってたのは2014年5月24日・25日。25日はAKB本体は岩手で全国握手会をやっていた日で、それが刃物を持った男に襲撃されてしまったあの日だったりもするんですよね。

 

その後、警備強化からの握手会再開した2014年8月8日~10日に開催されたAKB48グループ夏祭り。幕張メッセのAKB個別握手会に合わせて開催されたライブイベントと縁日ブースのイベントで縁日ブースは撮影し放題だったりしたんですが、あれは完全にどさくさに紛れてやったイベントでノーカンな気はします。ちなみに自分は完全に出遅れた組でろくな写真は撮れませんでした。

 

で、チーム8がホールツアーを開始したのが2014年12月23日の石川公演。公式サイトのレポート(https://toyota-team8.jp/report/list/20141226-01.php)を見たら

『制服の羽根』では、「コンサート中の撮影OK(スマートフォンのみ)」という、AKB48グループ初の試みにもチャレンジ。

って書いてありました。当時はトヨタのパーソナルモビリティ「Winglet」のプロモーションも兼ねていたんでしょう。これは2015年2月の鳥取公演で撮った写真。

 

冒頭の記事中にあるHKTの香港公演は2015年1月17日。撮影可能タイムがあったようですが、これは欧米のライブ文化を取り入れて海外のファンにサービスをしたような気もします。

 

2015年8月にはSKEも豊田スタジアムで開催された松井玲奈卒業コンサート前日に撮影OKタイムあったんですが、これは集客のための施策なんだと思います。

実はこのとき、撮影OKタイム前のMCで撮った写真は拡散禁止と言われていたらしいんですが、チーム8で撮った写真を拡散させるのが当たり前になっていたので、うっかりガラガラのスタンド上段を拡散させてしまいました。ちなみにこの翌日の松井玲奈卒業コンートは豊田スタジアムのスタンド上段まで埋まってましたからね。あくまで興行として2公演やる中で売れなかった日の集客施策としての撮影可能タイムだったんじゃないかと。

 

AKB48名義のコンサートで撮影可能タイムが設けられたのは2016年8月の「AKB48 シングル選抜総選挙 第一党感謝祭2016」だったかと。これはメンバー指定して推し席を設定してその席にメンバーがやってくるイベントだったので、感謝祭のサービス的な意味合いが強いんでしょう。高性能のカメラの付いたスマホの普及で、運営側がコストをかけずに持って帰ってもらえるお土産としての撮影可能タイムという側面もある気がします。 このときは、撮影可能タイムに慣れていないDD席の客が、撮影可能タイムが終わっても延々動画を取り続けてたのが印象的でした。

推し席システムが2018年ナゴヤドームで開催された総選挙にも導入された結果が冒頭の記事の「AKB48本体の総選挙ライブ」になるんでしょうか。

 

まあ、ダラダラと時系列で振り返るとこんな感じで冒頭の記事の時系列がおかしいのはよくわかったんですが、撮影可能タイムは最初はチーム8のプロモーションのために導入されたもので、チケットが売れないときやファン感謝祭的なところで例外的に他のグループも導入していったってのが実際なわけです。

 

記事中には「暗幕で覆い隠したステージ横や2階席の空席箇所がさらされたり、本来セクシーなはずのヘソ出しコスチュームからのぞく意識の低いメンバーたちのダルダルのお腹ばかりフューチャーされた動画もアップされるようになりました」みたいな記述もあるわけですが、これって今も昔もずっといる在宅でAKB叩くことしか楽しみがないやつの言ってることだと思うので、そのせいで人気凋落ってのも的ハズレですよね。

 

といったところで、AKBの凋落は撮影可能タイムのせいっていうのは無茶な話で。いろいろあってAKBの人気が低下する中での集客施策としての数あるサービスの中で撮影可能タイムも当たり前になっていったっていうのが実際だと思います。撮影可能タイムのせいで人気凋落したんじゃなくって、人気凋落したから撮影可能タイムが当たり前になったんですよね。だから因果関係も無茶があるんですよ。

 

と、どうでもいいゴミ記事にマジレスしてしまいました。失礼しました。